柿渋染めについて
柿渋染めは渋柿のまだ小さくて青い実を砕いて絞った汁を1年以上寝かせて発酵させたものを染色液とする草木染めの一種です。
柿渋液に浸けた布が乾くとき、日に当たったときに発色します。
柿渋はペンキのような塗料としての性質と、染み込んで染まる染料の両方の性質を持っています。
そのため一度で濃く染めようとするとペンキを塗ったように固くなってしまうため、薄い色を何度も重ねて欲しい色になるまで染めと乾燥(発色)を繰り返します。

柿渋での染めが終わったら媒染液で発色・定着させる作業を行います。
媒染をせず柿渋そのままの色を活かす場合もあります。
媒染は鉄だと黒味の茶色に、チタンだと黄味の茶色に、銅だと赤味の茶色になります。
媒染液の濃度でも色が変わるので、同じ媒染液に浸しても一枚目と二枚目では色が変わったりします。

現代のように便利な石油化学製品がなかった頃は、柿渋は染料としてではなく塗料や接着剤として紙や布、木材の防水剤・防腐剤として生活に産業にと身近に使われていました(渋団扇(補強・接着)や番傘(接着・防水)、一貫張り(補強・接着・防水・防虫)、酒袋(補強・清澄?)や漁網(補強・防腐)、縁の下の木材(防虫・防腐)など)。
なので昔はどのお宅でも縁の下に柿渋が作り置いてあったそうです。
今では柿渋は日用必需品ではなくなりましたが、染料として使用した時の独特な風合いが好まれて色々な製品が作られたり、自然派塗料として建物の塗装に使われたりしています。

柿渋は繊維をコーティングするため布を硬く丈夫にしてくれます。
物によっては革のような風合いになります。
そして使い込むことでこなれて柔らかくしなやかになり、色も変化していきます。
ジーンズのひげのように、強くこすりつけた部分は柿渋の被膜が剥がれて色が薄くなるため、自分だけの色合いや模様になっていきます。
「自分だけの鞄を育てる」そんな楽しみを感じながら使ってもらえたら嬉しいです。
  柿渋の重ね染めについて